日々の食事こそ大事(2014/06)
テレビで健康食品が盛んに宣伝されている。中にはグルコサミンやコンドロイチンのような軟骨成分を食べるとあたかも人の衰えた軟骨が蘇るような宣伝もある。
70数年前にルドルフ シェーンハイマーはアミノ酸(Lロイシン)に標識(同位体15N)を付けて追跡すると体内に吸収されたアミノ酸はさらに小さなものに分解され種々のアミノ酸(ロイシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、チロシン)に変換され、体のありとあらゆる組織(筋66%内臓33%)に組織タンパクとして取り込まれていき、と同時にほぼ同量のタンパク質が分解され体外に排出されていることを示した。
この絶えず作られ絶えず壊れる動的平衡の瞬間瞬間の中にこそ生命の姿がある。
「他の動物の軟骨成分を食すればあなたの軟骨ができます。」などという乱暴な説にだまされず毎日の食事の充実にこそ生きる喜びもあるだろう。
参考文献
①生物と無生物のあいだ
福岡伸一 講談社現代新書1891
②The Dynamic State of Body Constituents.
Schoenheimer,R. 1942 Hafner Publishing,New York,NY
鳥取医療センター 神経内科
金藤 大三