日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

食物窒息について(2008/11)

平成19年度 厚生労働科学特別研究事業「食品による窒息の現状把握と原因分析」調査によると、平成20年1月~3月の期間に、消防調査では724例の食物窒息事故があり、うち65例(8.9%)が死亡例、救命救急センター調査では603例のうち378例(62.7%)が死亡。原因食品の判明事例では、消防(432例)は、「もち」77例、「ご飯」61例、「パン」47例、救命救急センター(371例)では、「もち」91例、「パン」43 例、「ご飯」28例。特に高齢者が多く65歳以上で顕著、乳幼児では1~4歳までが最も多かった。パンは水分を含むと膨潤し、咽頭にへばりつきやすくなる。また、こんにゃくゼリーやグミゼリーは唾液混和が難しく、摂食・嚥下障害患者にはハイリスクである。 食物窒息予防には、食品の選択と食べ方・食べさせ方の十分な知識が必要である。摂食・嚥下障害に関わる医療者は、患者・家族のみならず、一般の高齢者や乳幼児に関わる職種に対しても、具体的な指導をして注意を促す必要がある。 一方で、窒息しやすいからと、むやみに禁止すると、食べたい気持ちが募り、つい食べてしまうという心理にも配慮しなければならない。(文責:兵庫医療大学 野崎園子)