日本神経筋疾患摂食・嚥下・栄養研究会

東日本大震災レポート(3) 便秘対策

 災害救援医薬品の中にプルゼニドという糖衣錠の下剤が含まれることが多い。精神的ストレスや食事や生活の変化等による便秘に対応するものなのですが、上下水道が完備されていない時には、服薬を勧めることがはばかられることもあります。確かに便秘は辛い。しかし、いつもと違う体調の時に服用するとちょうど良いという量がはっきりせず、下痢になってしまうこともしばしば。トイレが使いにくい時にこれは本当に辛い。それは赤ちゃんにも言えること。災害のショックで一時的に母乳が止まるお母さんがあります。でもそれは一時的なことで、お母さんがリラックスして、授乳を始めれば元のように出るようになります。そして、水や清潔な容器の確保が難しく、水を温める事ができないような状況では母乳ほど安全で完璧な栄養はありません。しかし一時的に出なくなってしまった時に人工乳を使わなければならないこともあります。(この辺りは一緒に行っていた助産師さんの受け売りです)この人工乳を使い始めると便秘になる赤ちゃんがあります。このときに糖衣錠の下剤では飲ませるのが難しい。 下剤でも液体の下剤があります。これならば大人から乳幼児まで使えるのですが、こういったときに一番使いやすいと思われる10ml容器の物は点眼薬に間違われることもあり、使い慣れていない高齢者には難しいかもしれません。全く万人に使いよいというものは難しいものだと思います。

 

(兵庫医療大学 薬学部 桂木聡子)