東日本大震災レポート(2) 薬について
私は薬剤師です。大学に来る前は病院や薬局に長く籍を置いていました。今も休日夜間診療所や小児急病診療所のお手伝いをします。前回にも書きましたが、元々釜石市の辺りは高齢者の方が多いのですが、小児医療の人手不足も深刻です。寒い時期でもあり、インフルエンザもありました。環境の変化で熱発の方がかなり増えてきており、普通ならば小児用の薬を使い、体重や色々なことを考慮してその方にあった調剤をします。散剤が飲めなければ水剤、散剤や水剤よりも小さな錠剤が良いという方もいらっしゃいます。錠剤も水剤も飲めないけれど苦い粉薬もダメという方にはココアパウダーを混ぜることもあります。勿論小児用嚥下補助剤も活用します。しかし、初期の災害救援の時には、どうしても大人の薬がメインになってしまいます。また、避難所には薬の分包機や分包紙、水薬ビンなども当然ありません。子供用のパックされた総合感冒薬や、小児にも使えるミリ数の小さい解熱薬などがせいぜいです。飲めるか飲めないかの確認もせず、頑張って飲んで良くなろうねとお薬を渡すと「うん!」と笑ってくれました。ある程度パターンが分かっていると、子ども風邪Aとか子ども風邪Bと言うように少しずつ処方内容や量を変えた分包品を作って持って行くことも可能ですが、オブラートや嚥下補助剤も救急支援物資に入っていたらとも思いました。(兵庫医療大学 薬学部 桂木聡子) 注:高齢者、摂食・嚥下障害患者にも、おそらく同様のことが起こっていると思います。平素、錠剤がのめずに粉砕の調剤をざれている方はどのようにされているのでしょうか? 簡易懸濁法はいかがでしょうか?ほとんどの錠剤は10分間微温湯に入れるだけで懸濁します。その後とろみをつければ、比較的安全に服用できます。(野﨑 注)