「パーキンソン病の誤嚥をスクリーニングする3つの質問項目」(2013/02)
パーキンソン病患者においては、嚥下障害の自覚がなくても誤嚥している場合や、嚥下障害の不安を訴えても、実際には誤嚥していない場合がある。私たち看護師は、患者の嚥下障害に早くに気づき、安全に経口摂取を続けていけるように、他部門と協力する必要がある。パーキンソン病患者の嚥下障害を簡便に評価する3つの質問項目を紹介したい。
①ここ1年でやせてきましたか?
②薬を飲むときにむせますか?
③食事中の自覚症状として動きの悪さがありますか?
この3つの質問は、嚥下機能に関わる20の質問の中で、パーキンソン病患者の誤嚥と関連が特に強かったものである。
①の質問は、嚥下障害が原因で体重減少がないかを訊くものである。痩せているパーキンソン病患者が多いが、短期間で体重減少している場合、嚥下障害による摂取量の低下の可能性がある。このような患者は低栄養や脱水に注意が必要である。
②の質問は、誤嚥しやすい場面を訊くものである。多くのパーキンソン病患者は決まった時間に薬を内服している。内服は飲水よりも飲むことを意識していることが多く、むせがあることを自覚していることが多い。
③の質問は、食事のときに動作緩慢やoff症状が現れていないかを訊くものである。off症状では舌の動きが悪くなり、口腔から咽頭への送り込みが困難になる場合があり,嚥下と呼吸のタイミングが合わずに誤嚥することがある。また、食事中の動きが悪い患者は疲労のため摂取量が低下することが多い。この時、義歯を装着されているかたは不具合による場合もあるため注意する。
パーキンソン病患者の嚥下障害に早期から介入できるよう、これら3つの質問項目をスクリーニングのひとつとして活用して頂きたい。
引用文献
・山本敏之,臼井晴美,新庄孝子ら. 問診によるパーキンソン病患者の誤嚥の評価. 嚥下医学 2012; 1:90-98
国立精神・神経医療研究センター病院 看護部
臼井晴美