口腔乾燥患者においても嚥下障害を疑う(2011/01)
最近、口腔乾燥を訴えて来院する患者が増加しています。原因は、内服薬、疾病や加齢などがあります。日常臨床においても患者の口腔乾燥状態を把握しておくことが必要で、口腔機能や全身状態に依存せずチェアサイドで簡便に行える口腔乾燥の評価法が使われています。検査法には、安静時唾液の検査として吐唾法や口腔水分量、唾液湿潤度、ワッテ法などがあり、刺激唾液の検査としてはガムテストやサクソンテストがあります。その他、唾液の物性検査として粘性、曳糸性をみるものなどがあります。水橋によると口腔乾燥に有用な検査法は、年齢によらず安静時唾液、サクソンテスト、口腔水分量の測定であり、安静時の評価には口腔水分量の測定を行い、刺激時の評価にはサクソンテストを行うとよいとのことです。
口腔乾燥とRSST(反復唾液嚥下テスト)の関係について報告されているものでは、居林らは、口腔清掃指導および口腔体操の実施によりRSSTに有意な改善を認め、安静時および刺激時唾液も増加傾向を示したと報告しています。大原らは、口腔内を水で湿らせることにより嚥下回数が有意に増加したことを示しました。水橋らは、RSSTは刺激唾液との関係があり、刺激唾液の少ない口腔乾燥患者ほど嚥下の機能低下を生じている可能性が高いと報告しています。嚥下障害を疑う際は口腔乾燥の検査をしてみてはいかがでしょうか?
国立病院機構千葉東病院 歯科 大塚 義顕
図 口腔水分量の測定検査
口腔水分計・ムーカス 株)ライフ
舌先端から10mmの舌背部 舌を出した状態で測定
測定部・手技:口角から内側に10mmの部位を軽く外側から指で保持する
<基準値>
正常 :30以上 中等度乾燥 :25-27
境界 :29-30 高度乾燥 :25未満
やや乾燥 :27-29